1967年、当時の琉球政府立中部病院にハワイ大学と提携した医師の臨床研修制度が開始された。当時沖縄のどの大学にも医学部はなく、ましてや研修制度たるものの経験はまったくなかった。当初はハワイ大学から派遣された顧問団の指導のもと研修制度が進められた。1965年から1971年までに総勢33名が派遣されている。医師の他事務官、看護顧問、検査技師、病院管理、病歴係、物療科、理学療法士、秘書が含まれている。医師では外科、産婦人科、病理、小児科、麻酔、内科、放射線科、整形外科が含まれている。
その中で、外科ではM & Mカンファレンスは当然のごとく行われており、沖縄県立中部病院のM & Mカンファレンスは研修開始時代にさかのぼることになる。M & Mカンファレンスとは、mortality and morbidity についてのカンファレンスということで、死亡した症例や術後に合併症が発生した症例について、詳細に検討し、次の症例にその経験を生かしていこうというものである。決して症例担当医個人の責任を追及するものではない。
M&Mカンファレンスについて
沖縄県立中部病院 院長 平安山英盛
(グラム陰性桿菌による下肢の壊死性筋膜炎で死亡した症例の、M & Mカンファレンスを内科、外科、麻酔科、手術場ナースの合同で行っているところ)
死亡例では、症例を初診時から詳しく検討し、手術の適応そのものがあったのかどうか、診断や治療の遅れはなかったのか、施行された治療法は正しかったのか、他に治療法はなかったのかなどを検討し、診断と治療によっては避けられる死亡だったのかについてまで話を進めていく。そこから次回への改善点を見つけ出していく。
術後合併症は、創感染症、尿路感染症、無気肺、肺炎、静脈血栓症、肺塞栓症、腹腔内膿瘍、縫合不全等、手術が原因・誘因になって発生し、死亡には至らないまでも症例の回復に影響を与える病態である。当院では、ささいなものまで含めて検討している。これも、症例ごと詳細に分析し、原因を明らかにして、次回からの改善点につなげていく。
当院外科では月最低2回のM & Mカンファレンスを施行している。何かの都合でできない場合は、別の日時をとって必ず行うこととしている。M & M カンファレンスのフォームを作成し、2005年3月31日からはその場でパソコンに入力しながら、続けている。2010年2月22日までに901件が入力されている。
M & Mカンファレンスの重要性に対する認識をスタッフに徹底し、今後も継続して実施していく予定である。
(2010-4-3)