公益社団法人 日本歯科医師会の活動

日本歯科医師会における医療安全に関わる取り組み

 日本歯科医師会は、医療安全への取り組みとして、歯科医療安全対策、院内感染対策、医療事故・医事紛争に関する事項等について審議する歯科医療安全対策委員会を会内に常置しています。
同委員会では、歯科診療所における医療安全対策として、医療担当者が心得ておくべき留意点等を、平成12年3月に冊子「医事紛争を起こさないために」(当時の会議名称:医事処理検討委員会)として取りまとめたところであります。しかしその後の法改正等に準拠する見直しが必要であるとして、平成25年3月時点で精査を行い、新たな冊子を全会員に配付いたしました。

 会員に対する医療安全研修については、都道府県歯科医師会において個別に開催する研修事業はもちろん、本会としても先般4月13日、医療事故削減や診療所の医療安全に繋げていく方策の共有、また今後の行動指針作成の一助とするため医療安全研修会を開催いたしました。当日は、都道府県歯科医師会医療安全担当者が出席し、各地の医療相談事業等について発表いただきました。これにより各担当者が、その他の地区の様々な取り組みを参考に、より適切かつ迅速な医療相談体制に改善できるものと認識しております。このような全国的な研修については今後も開催し、患者さんに安心、安全な歯科医療を提供できるよう課題と情報の共有を図りたいと考えています。

 医療の質、安全の向上を図るためには、全ての歯科医療機関において安全対策を実施することが求められるのはいうまでもありません。歯科診療所の多くは、病床を持たない小規模な診療所であり、医療安全全国共同行動が掲げる9つの行動目標と推奨する対策の一部が該当し、それによって歯科診療所における個々の環境や診療実態に即した歯科独自の行動目標の設定やインシデント事例を共有することが必要となってまいります。
例えば、①受付・応対、②検査・診断、③インフォームドコンセント、④診療、⑤施設・管理、⑥その他の項目等について、歯科医療の安全を可視化し、都道府県歯科医師会と各地区の行政とこれらの情報を共有し、他職種との連携を図りつつ、医療安全に関する調査、分析を進めていく必要があります。
これらの分析のほか、ヒヤリハット事例等を収集し、重大な問題がある場合には、都道府県歯科医師会を通じて会員歯科診療所に歯科医療安全情報を提供できる体制の整備を図っていきたいと考えております。

 本会といたしましては、今後も最善の歯科医療安全対策を講じていくために、引き続き厚生労働省や関係行政、また、医療現場を支えるさまざまな団体・学会・行政と協力し、医療事故のできうる限りの未然の防止に向けて今後とも取り組んでまいります。

(2013-11-22)