一般社団法人 神奈川県歯科医師会の活動
神奈川県歯科医師会が取組むリスクマネジメント
県民に安全で安心できる歯科医療サービスを提供するために、神奈川県歯科医師会(以下、神歯)の観点から医療安全の全体像を構築し、平成18年度から3800余名の会員を対象に、「歯科医療の質向上・安全セミナー」、「日赤救急法講習会」、「歯科電話相談窓口」、「医事処理検討部会」、「新入会員研修会」、「神奈川県医療安全推進協議会」、「医療訴訟関係協議会」、神奈川県医療6団体による「神奈川県医療安全推進セミナー」等を行っている。歯科診療所・地方自治体・県歯・地域歯科医師会等が、それぞれの責務と役割を意識し活動する必要がある。
ここからは、神歯における医療安全に対する取組み状況を報告する。
- 神歯では、(1)歯科電話相談の対応による危機管理、(2)医療安全セミナーでの医療事故発生時の迅速対応による危機管理、(3)医事処理検討部会での医事紛争への対応に係る危機管理により医療安全に取組んでいる。
- 平成15年から歯科電話相談窓口を設置した。平成16年からは専用回線を設置し、平成19年の改正医療法施行後は医療安全支援センターの協力を得て、県民・患者からの歯科に係る相談・苦情に対応している。毎年700件弱で推移している。神歯が設置した「歯科電話相談」は、各診療所で発生し、解消・解決できなかった患者の相談・苦情に応えることで、医事紛争への発展を未然に防ぐ役割を担っていると言える。
- 平成19年より「歯科医療の質向上・安全セミナー」を毎年開催し、医療事故発生時の迅速対応による危機管理を啓発している。さらに、医事処理検討部会では、医事紛争に対応している。年30件程度で推移していたが、40件程度に増加傾向である。
- 神歯会員に対しては、医療安全確保対策に活用いただくため、平成19年9月に「小規模な無床歯科診療所用 医療安全管理指針・医療安全管理マニュアル ~指針・各種マニュアル~」を作成し配布した。また、平成25年4月に「安心して診療するために(医事処理の立場から)-平成10年9月作成-」の後継版として、「医療事故・医事紛争防止マニュアル~予防と対策~」を作成し配布した。
- また、神歯では、平成20年より神奈川県医療6団体における「神奈川県医療安全推進セミナー」に参画している。神奈川県医師会等医療関係団体と一体となった神奈川県医療安全対策事業実行委員会を設置し、神奈川県民に更なる安全で安心、信頼される医療を提供することを目的として講習会等を開催している。
多職種による「神奈川県医療安全推進セミナー」に参加し、ヒヤリハット、KYT、RCA分析、支援センター相談事例等、多くの有益な情報を得ることができ、高い評価をしている。
患者中心の医療の実現のためには「チーム医療」が重要であり、多職種の連携が大切であることはいうまでもない。今後とも神奈川県医療6団体を通じて連携を密にしていき、県民に安全で安心できる歯科医療サービスを提供するために、神歯として医療安全に取組んでいきたい。
(2013-11-22)