CVC(中心静脈穿刺)合併症はもっと減らせます

東北大学 先進外科 宮田 剛

「たかがCVC」と思われるかもしれません。すでにこんなに日常診療に浸透している診療技術ですから。いまさら新たな試みをする必要などない!今まで通りのやり方で特に問題はない!ある程度の合併症はしょうがない!と言われることもあろうかと思います。でも、その「ある程度」のCVC穿刺に伴う合併症の頻度は、約10%と言われています。10人に一人が何らかの合併症を被っている医療行為!自分が患者だったら許せるでしょうか?
行動目標3bではこの10%を少しでも少なくする推奨事項を掲げています。良いと言われていて、しようと思えば比較的すぐにできるはずだが実際にはなかなかできていないこと、エビデンスのあるものを中心に推奨事項を選んでいます。
対策を立てることで既に結果を出している施設もあります。米国ミシガン州の100あまりのICUで共同研究がなされ、チェックリストを使用することでCVC感染症を約66%低減させました。ちなみにその対策を提唱した医師Pronovostは雑誌TIMEで2008年世界に最も影響を与えた100人に選ばれています。
超音波使用にて大幅に合併症を減らしている報告も多くなってきました。
すべきことをすれば結果は出るはずです。逆にすべきことをしないと、いつまでたっても改善はしません。楽天イーグルスの野村監督も言っています。「負けに不思議の負けなし」と。あとは「減らす気があるか否か」です。
この日常的診療技術のCVCで起こる不幸な合併症をなくしていきませんか。
共同行動として推奨しているのは、(1)CVC適応の厳格化、(2)感染防御策の徹底、(3)セルジンガーキットの使用、(4)モニター機器、緊急資材の準備、(5)多数回穿刺の回避、(6)透視下操作、(7)超音波診断操作の使用、(8)安全手技教育体制の構築、です。詳細はホームページ、ハウツーガイドをご覧ください。