医療関連感染の35%以上は感染予防策の徹底により軽減できる

公立大学法人 横浜市立大学附属病院 感染制御部部長 准教授 満田 年宏

医療関連感染は入院患者の約5%に発生するといわれています。しかし、その35%以上は感染予防策の徹底により軽減できることがわかっています。
医療安全、医療の質の確保ならびに患者さんの満足度を向上させる上でも医療関連感染予防策の徹底をはかる必要があります。医療の高度化とともに、尿路留置カテーテル、中心静脈カテーテル、人工呼吸器管理等のデバイス装着関連の感染ならびに手術部位感染が医療関連感染のうちの3/4を占めており、これら4大医療関連感染のリスク軽減が重要となります。
一方病原体別では多剤耐性菌感染症、クロストリジウム・ディフィシル関連疾患、ノロウイルス、季節性ならびに新型インフルエンザ対策等の対策の充実が求められているところです。医療安全全国共同行動では、MRSA感染対策をはじめとするこれら医療関連感染の予防の重要性について情報共有するとともに、その徹底を改めて呼びかけていきます。手指衛生をはじめとする予防策遵守率の評価と改善をはかるために必要な資材の提供をすすめていきます。
※新型インフルエンザは2009年4月にメキシコで発生し、世界流行(パンデミック)の状態であるフェーズ6がWHOから宣言されており、今後数年にわたり厳重な対策が必要です。地域における大きな流行は日常的な地域医療の疲弊をきたし、医療の現場の混乱を招きかねません。このため、政府や関連学術団体では国民一人一人に感染予防のお願いやワクチン接種の推進を図っているところです。医療施設内での感染予防についても、厚生労働省から徹底に関する周知文書が出されているとことです。施設内での啓発や感染予防のさらなる徹底をお願いします。