経鼻栄養チューブ挿入時の位置確認のポイント(目標3a)

行動目標3a代表
春日部市立病院 副院長・看護部長 山元 恵子

photo 4月の病院や診療所は、新人職員や転入職員の出入りが多いため、施設としての安全対策やマニュアルがなかなか理解されず、医療事故が発生しやすい時期です。
経鼻栄養チューブによる事故も、3月~5月の発生報告が多い現状で、注意喚起が必要です。経鼻栄養チューブの挿入は目で見えないところに感覚的に、常時閉じている「食道」の入り口にチューブを挿入する技術です。この矛盾した状態で安全に挿入するためには、ひと(患者)のアセスメント、もの(チューブ)の素材、形態の選択、技術(挿入手技)の熟練が大切です。

1.ひと(患者)のアセスメント:経鼻栄養チューブを必要としている患者には二つのタイプがあります。第一のタイプには嚥下障害や意識障害等で経口摂取できないタイプ、いわゆる「ごっくん」できない患者層、第二のタイプには「ごっくん」はできるが、消化機能が充分ではないために経鼻栄養が必要な患者層です。

2.もの(チューブ)の素材、形態の選択:患者のタイプによってチューブの選択がまったく異なります。「ごっくん」できない患者さんには、チューブの重みで挿入できるように先端の錘と、ガイドワイヤー付きが挿入しやすく、非透過性のチューブが必要です。

3.技術(挿入手技)の熟練:以下のポイントを押さえましょう
■患者の体位は、ファーラー位とする
■経鼻栄養チューブの挿入長さを実測する。
■頚部前屈位をとり、可能なら嚥下を促す。
■20cm程挿入したら、口の中で迷走していないこと、咽頭で交差していないことを目で確認する。
■この時、視線は胸郭と腹部の動きや顔色を見て呼吸状態を確認する。

 今回、経鼻栄養チューブ挿入技術をDVDとして作成しましたので、ご覧ください。
なお、初回の挿入確認は、レントゲン撮影が一番確実です。しかし、レントゲン撮影が困難な施設ではpH試験紙による確認等を行い、気泡音以外の、複数の確認方法で確実な位置確認を実施することを推奨します。