2010/06/02 追加

Q.「院内緊急対応マニュアル」として提示されている「採血時の末梢神経損傷」の対処方法に関して、僭越ながらひとこと感想を述べたいと思います。全体的に明確な根拠が示されており、傷害を起こさないための手順上の注意事項、発見する手段、拡大防止措置、発生時の適切な対処を可能にするための備え、予防措置等がわかりやすくまとめられていると思います。ただ、「対処方法4..通常は一過性の症状として時間とともに消失するが、上肢の知覚障害・運動障害・冷感などが持続した場合は再受診するように勧める」に関しては、この文言通りにしたならば、患者さんに対して無責任な対応になりかねないと感じました。当院では、「主治医へ報告。神経内科受診」としています。「患者の痛みの訴えに対する対応が適切かが大切である」ことからも、もう少し患者に寄り添った対処方法を検討することが必要かと思いました。ご意見がありましたら、お願いいたします。

A.皆様の仰せのように看護師が最初に関わることが多いため、抹消静脈穿刺については関係する診療科部長などと検討して手順書を作成しております。下記に抹消静脈穿刺の抜粋を記載しました。
≪穿刺後の対処≫(注:患者への対応によって患者の精神的なダメージや症状の出現に影響する) 1)患者の症状の観察 2)患者の話を聞く。訴えに対して直ぐに対応する。 3)患者への説明 4)担当医(注射や採血を指示した医師)やスタッフへの報告 5)担当医の指示のもと経過観察や治療が実施される 6)正確な患者記録 
≪注射時、痛み・しびれを訴えた場合≫(注:この際、真摯な対応が肝要である。冷淡視するような態度はとらない) 1)駆血帯をゆるめ、直ちに針を抜く 2)疼痛・しびれの部位を調べる 3)帰宅後に痛みやしびれが再発した場合は病院に連絡するように説明する
≪患者より連絡があった場合≫ 1)来院するように伝える 2)担当医が診察を行う。 3)必要に応じて、神経内科医または整形外科医に連絡し、コンサルトをする 4)症状に合わせ、治療を開始する
≪抜針後10~30分経過後も痛み・しびれをきたす場合≫(注:重たいものを持たない) 1)担当医に連絡するとともに、局所の安静と保温を保つ 2)穿刺部位、痛み、しびれの部位・程度を記録し、担当医の診察・指示のもと、神経内科及び整形外科受診を決定する 3)診察した医師は症状に対しての説明をおこなう 
[記載事項] 1)時刻 2)穿刺部位、痛み、しびれの部位・程度 3)局所の安静と保温、神経内科又は整形外科受診依頼の有無 4)施行者名(図を入れています)