医療安全全国共同行動推進シンポジウムin栃木 報告

自治医科大学医療安全対策部教授 長谷川剛

 平成21年7月26日(日)、自治医科大学講堂(栃木県下野市)において、医療安全全国共同行動の支援シンポジウムが開催されました。開催にあたっては栃木県内の医療安全管理者によるネットワークが自発的に組織され、ML等で意見交換が行われながら準備が進められました。

 栃木県内のみならず茨城県をはじめとする近隣の県、高知県など遠方からの参加者を含めて180人の参加がありました。シンポジウムは自治医科大学附属病院、島田病院長の挨拶から開始されました。
午前中は山形大学医学部長、嘉山孝正氏に『大学病院における医療安全活動』という演題で基調講演をいただきました。優秀な脳神経外科医である嘉山氏のご自身の経験や、山形大学附属病院におけるさまざまな医療安全対策の取り組みを交えた熱い講演に、場内は盛り上がりました。
 続いて自治医科大学麻酔科教授、瀬尾憲正氏による医療安全全国共同行動についての解説と、周術期肺塞栓症発生予防の活動指針について講演が行われました。
 インシデントレポートシステムやフットポンプ、輸液ポンプなど、医療安全推進に寄与する商品紹介のためのブースも設置され、休憩時間には参加者は展示企業からの説明を熱心に聴いていました。
インシデントレポートシステムとエコーガイド下中心静脈挿入に関する機器紹介と、自治医科大学附属病院での経験を紹介したのち、午後は自治医科大学感染制御部部長、森澤雄司氏が院内感染対策について講演、引き続いて河野龍太郎氏による『事例要因分析』の講演が行われました。
 その後各病院からの取り組み・実践事例ということで、県立がんセンター、大田原赤十字病院、済生会宇都宮病院、上都賀総合病院から発表が行われ、具体的な議論で盛り上がりました。

 シンポジウムは栃木県医師会、栃木県看護協会など関係団体の支援を受け、また医療系メディアからの取材もあり、関心の高さがうかがわれました。
 栃木県では、医療安全全国共同行動への参加と活動推進に加えて、今回立ち上がった医療安全管理者のネットワークによる活動をさらに進めて、病院を超えた医療安全対策や相互の支援活動などを進めていく予定です。
 シンポジウムを無事に盛況の内に開催することができました。ご協力いただいた関係団体の皆様、準備・発表等にご尽力いただいた皆様、そして参加者の皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。