2周年記念フォーラム報告

ワークショップ報告

分科会B:有害事象(事故・合併症)が発生した時の緊急処置

コーディネーター  川嶋隆久(神戸大学)
アドバイザー    共同行動企画委員会・支援チーム
          川嶋隆久、高橋英夫、児玉貴光、江原一雅、安藤廣美、種田憲一郎  

 「有害事象(事故・合併症)が発生した時の緊急処置」について、「アナフィラキシーショック(事例提供:和歌山県立医大 中敏夫、名古屋大 高橋英夫)」、「術後肺塞栓(事例提供 和歌山県立医科 中敏夫、神戸大 川嶋隆久)」、「採血時の神経損傷と失神(事例提供:聖マリアンナ医大 児玉貴光)」、「空気塞栓(事例提供:神戸大 川嶋隆久、名古屋大 高橋英夫)」の各テーマについて、事例と対応の手順等についてミニ講義を行った。その後、ワークショップ参加者は4テーマに分かれ、参加者からの事例経験を報告してもらった後に、1)体験・見聞した事例での緊急対応処置、2)何が理解されていないと思われるか、どうやれば理解されやすいか、3)事故や合併症が起きる前の備えとして何が必要か?4)周知すべき重要ポイントの確認、についてグループディスカッションを行った。各グル―プで司会と書記を決め、非常に活発なディスカッションが展開された。

photo 「アナフィラキシーショック」では、医師がその場にいることが少なく、看護師、技師のみで対応を開始しなければならないことが多いこと、医師、コメディカルを含めた教育・訓練・レベルアップが最重要課題であること、緊急時にはCode Blueを利用するが、参加病院ではこのシステムが有効に機能して多くの場合救命が可能であったこと、化学療法部門にアナフィラキシーショックの教育を受けた認定看護師の配置事例、薬剤投与後の観察についても標準手順・マニュアルの作成の必要性などが挙げられた。

 「術後肺塞栓」では、早期発見のために、1)合併症としての肺塞栓の存在を認識する教育システムの必要性、2)肺塞栓発症時の対応マニュアル、教育、訓練(予防に関するマニュアルや実行は多くの施設で行われているようであるが、実際に合併した場合の早期発見体制及び治療に関しての認識、教育が不備である)、3)SaO2測定を義務付ける、直後の対法としては、1)BLS、2)ヘパリン投与、必要なシステムとしては、1)ドクターコール(コールブルー)、2)救急カート、3)早期発見を可能にするシステムが挙げられた。

photo 「採血時の神経損傷と失神」では、身体的対応とともに患者サイドからは苦情だけでなく、補償を求められることがある。事前の準備として、患者さんへの説明・指示を記載したリーフレット、直後の対応として、救急カートの常備、迅速な医師の診察体制、対応マニュアルの作成、誠意をもった対応、苦情・補償対応部署の明確化などが挙げられた。

 「空気塞栓」では、リスクの認識が低いこと、実際の対応方法を理論的に知らないこと、カテーテル挿入や抜去に伴うルールがない、などの問題点が挙げられた。空気塞栓を起こさないための安全知識と理論的知識(中心静脈カテーテル挿入時の頭部低位、抜去直後の座位は危険)の啓発、事例の共有や日常の振り返りによるリスクの認識、カテーテル抜去時に一針縫合する、カテーテル抜去後は通気性のないドレッシングで被覆、空気の流入防止ができるカテーテルの開発(企業にも参加)などが提案された。

文責 川嶋隆久(神戸大学)