2周年記念フォーラム報告

ワークショップ報告

分科会C:患者さんは医療安全のパートナー

 有害事象を減らし、共同行動の目標(1~8)を実現するために、患者さんができること、患者さんの協力があればもっと効果が期待できることを、「話題提供」「指定発言」「グループディスカッション」を通して考えました。

【話題提供】
 次の4つのテーマの話題提供が行われました。

 まず、保田知生氏(近畿大学医学部)より、「周術期肺塞栓症の予防」と題して、肺塞栓症がどのような病気か、肺塞栓症を予防方法の解説が行われました。そして、患者参加の視点から、「術前オリエンテーションで早期離床と積極的な運動、弾性ストッキングの着用を指導すること」と、「医療安全全国共同行動のハウツーガイドを利用すること」を提案されました。

photo 次に、黒木洋美氏(飯塚病院)は、リハビリテーション科医師の立場から、「DVDを用いた転倒・転落の防止策の成功例」を紹介するとともに、「患者本人の“転ばない身体と心”つくり」「動いても安全な環境”つくり」について、具体的な実践例を含めて紹介されました。

 本間崇氏(日本臨床工学技士会)は、医療機器の安全使用について、事故事例を紹介するとともに、輸液ポンプを例に、患者さんにどのような説明をすればよいかを提案されました。説明が必要な項目として、治療内容の理解、機器の安全性の理解、主要機能の説明、アラームが発生した時の対応、触れてはいけない箇所の説明、および、緊急時の対応を提案されました。

 さらに、飯島久子氏(静岡県立静岡がんセンター)、高橋知子氏(医療の質・安全学会パートナーシッププログラム)から、お薬手帳の医療安全上の意義と、お薬手帳の利用実態の調査結果が説明されました。そして、お薬手帳がその機能を発揮するために、患者ができることと病院ができることが提案されました。

【指定発言】
 話題提供を受け、立場の異なる4人からコメントをいただきました。
 江原幸一氏は、2002年にお連れ合いが帝王切開での出産後の肺塞栓症で亡くなられ、その後、患者・家族の立場から、さまざまな肺塞栓症防止のための活動をされていることを紹介されました。清水肇子氏からは、お仕事(公益財団法人さわやか福祉財団事務局長)を通しての医療者との関わりや、ご自身の入院、受診体験をふまえて、話題提供の4つのテーマについて感想を述べていただきました。続いて、豊田郁子氏から、医療事故でご長男を亡くされたあと、新葛飾病院でセーフティーマネージャーとして医療安全対策に取り組んでおられるという、患者、医療関係者の2つの立場からの感想を述べていただきました。最後に、佐久総合病院医療安全管理室の篠原裕子氏からは、リスクマネジャーとしての立場から、各話題提供の提案に対して、医療機関の実情と照らしてのコメントをいただきました。

photo【グループディスカッション】
 話題提供の4つのテーマごとに、5グループ(転倒・転落のみ2グループ)に分かれて、①各テーマの現場での実現可能性と、②患者さんから「私にも(安全のために)できることはありませんか」と医療者問いかけてもらうキャンペーン、の2つに議題について話し合っていただきました。話題提供者や指定発言者、共同行動支援チームの代表者にもグループに加わっていただき意見交換が行われました。その後、各グループから、話し合った内容についての発表をいただき、最後に上原鳴夫氏(医療安全共同行動企画委員長)より、「患者さんから『私にもできることはありませんか』と問いかけてもらうキャンペーン」の提案とその趣旨の説明が行われました。
 以上のプログラムから、多様な「患者参加」の意義と具体的な実施方法を考えることができ、参加者から、「病院に帰って早速取り組みたい」との声もありました。皆様のご協力に感謝いたします。

文責 山内桂子(医療の質・安全学会パートナーシッププログラム)