第16回フォーラム「医療の改善活動」全国大会in福井

改善活動の成果や事例を熱く語り合った2日間

第16回フォーラム「医療の改善活動」全国大会in福井
大会長  野口 正人(福井赤十字病院長)

photo 去る平成26年11月14日、15日の2日間、福井市において第16回フォーラム「医療の改善活動」全国大会in福井を開催いたしました。小雨降るやや寒い天候でしたが、北は北海道、南は沖縄と全国各地から681名の医療人が参加し、事例発表は予定した最大数の140題にのぼり、活発な意見交換が行われました。

 フォーラム第1日目の午前中に開催された「医療の改善活動:入門セミナーとトップマネージメントセミナー」も盛会で、各々募集最大数の144名、49名が参加し、肌寒さを吹き飛ばすような熱気が会場に溢れました。

 大会メインテーマ「私たちの病院イノベーション~協働して医療の未来へつなぐ~」が物語るように、今年は第6次医療法改正による医療の構造改革、地域医療ビジョンの策定が本格的にスタートしました。そんな折、「医療のTQM推進協議会」設立来の理事長であった上原鳴夫先生(東北大学名誉教授)が残念ながらフォーラム2ヵ月前にご逝去されましたので、大会は「前理事長上原鳴夫先生を偲ぶ会」から始められました。14年間、医療のTQM推進協議会を率いてこられた上原先生の偉大なご功績を回顧し、心からご逝去を悼み、ご冥福を祈って参加者全員が黙祷を捧げました。
 その後、新理事長に就任された安藤廣美先生(麻生飯塚病院特任副院長)が今後の協議会の活動方針を述べられ、フォーラムは開会されました。

photo 大会長講演では「新たな福井赤十字病院を目指して10年」と題して、QCサークル活動、TQMを基軸とした病院組織の改善活動(TQM委員会設置と院内センター化構想推進)の歩みとその成果を紹介させていただきました。また、未来の医療に繋ぐ新たな組織改善活動としてDPNS(Day Partnership Nursing System)の導入と成果の一部を紹介しました。

 特別講演は「未来へつながるイノベーション戦略~夢の共有を大きなエネルギーにかえて~」と題して、セーレン(株)の川田達男会長兼CEOに講演いただきましたが、福井の染料会社を斜陽産業となった福井の繊維業界から救い、繊維を原点とした世界的企業へと変身させた組織改善の考え方やTQM手法は説得力があり、参加者は多くの教訓と感動を得ました。

 教育講演は「品質管理におけるTQMの役割と全体像について」と題して玉川大学経営学部国際経営学科教授の大藤正先生に講演いただきましたが、地域や顧客が求める良質のものを提供するには品質管理と時間による変化を捉えることが重要で、継続的にPDCAおよびSDCAサイクルを回す改善活動と逆ピラミッド組織の形成が肝要であると非常にわかりやすく教えていただきました。医療界においても、QC活動とTQMの導入が必要であることを再認識しました。

 事例発表演題はQCサークル活動によるものが90題、TQMに関するものが48題、その他2題で、23セッションに分かれて発表されました。チーム医療が標準的な形と考えられる現在、多職種からの様々な分野の発表、また複数の職種が協働する活動発表が多く、TQM推進の目的は時を経て徐々に根付いていると感じられました。

photo 第12回フォーラムから始められた「講評者、審査員」または「座長、審査員2名」による発表内容の評価は、会を重ねるに従い標準化されています。今大会では、開会に先立ち、ランチョンセミナーの形で講評者・審査員へのオリエンテーションが行われましたので、各セッションの優秀演題の選定は非常に円滑に行われました。大会では23題の優秀演題が選定され、表彰式において新理事長から優秀賞が授与されました。
 最後に、次回(第17回)フォーラム開催を担当する伊勢赤十字病院、矢花正副院長のご挨拶があり、2日間の実り多かったフォーラムを閉幕しました。 

 

 写真(上)フォーラム・セミナー風景
 写真(中)野口正人大会長
 写真(下)フォーラム表彰式にて:医療のTQM推進協議会、安藤廣美新理事長